花札の「こいこい」は、2 人で遊ぶ花札の定番です。ルールの芯は「同じ月の札を合わせて取り、役をそろえる」だけ。ただ、最初は札の月が見分けられないのと、役ができたあと「こいこい」するか迷うの 2 つでつまずきがちです。
この記事では、札の見分け方から 1 局の流れ、役と点数の一覧、こいこいするかどうかの目安までを順に説明します。最後に、地域や遊び方で違いやすい点と、始める前に決めておくことをまとめました。
こいこいとは
こいこいは、48 枚の花札を使い、同じ月の札を取り合って「役」を作り、点数を競う 2 人用のゲームです。
- 人数: 2 人
- 使う札: 花札 48 枚(12 か月 × 4 枚)
- 点数の単位: 文(もん)
- 長さ: 1 局は数分で終わることが多く、12 局(12 か月)で合計点を競う遊び方がよく使われます。3 局や 6 局で区切ってもかまいません
名前は、役ができたときに「こいこい(来い来い)」と言って勝負を続けられるルールに由来します。ここで上がるか、続けて点を伸ばすかの駆け引きが、このゲームのいちばんの面白さです。
花札の札の見分け方
花札は 1 月から 12 月まで、月ごとに決まった花(植物)が描かれた札が 4 枚ずつあります。合わせて取れるのは同じ月の札どうしです。
札の 4 つの種類
同じ月の 4 枚は、絵柄によって次の 4 種類に分かれます。役はこの種類の組み合わせで決まります。
| 種類 | 枚数 | どんな札か |
|---|---|---|
| 光 | 5 枚 | 鶴・月など、いちばん格の高い絵の札 |
| タネ | 9 枚 | 鳥や動物、盃などが描かれた札 |
| 短冊 | 10 枚 | 細長い短冊が描かれた札 |
| カス | 24 枚 | 花や植物だけが描かれた札 |
12 か月の札の早見表

上の画像は、左の列が 1〜6 月、右の列が 7〜12 月です。それぞれの段で、左から光(またはタネ)→ 短冊 → カスの順に並べています。
| 月 | 花 | 光 | タネ | 短冊 | カス |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 月 | 松 | 松に鶴 | — | 赤短(文字入り) | 2 枚 |
| 2 月 | 梅 | — | 梅に鶯 | 赤短(文字入り) | 2 枚 |
| 3 月 | 桜 | 桜に幕 | — | 赤短(文字入り) | 2 枚 |
| 4 月 | 藤 | — | 藤に不如帰 | 赤(文字なし) | 2 枚 |
| 5 月 | 菖蒲 | — | 菖蒲に八橋 | 赤(文字なし) | 2 枚 |
| 6 月 | 牡丹 | — | 牡丹に蝶 | 青短 | 2 枚 |
| 7 月 | 萩 | — | 萩に猪 | 赤(文字なし) | 2 枚 |
| 8 月 | 芒(すすき) | 芒に月 | 芒に雁 | — | 2 枚 |
| 9 月 | 菊 | — | 菊に盃 | 青短 | 2 枚 |
| 10 月 | 紅葉 | — | 紅葉に鹿 | 青短 | 2 枚 |
| 11 月 | 柳 | 柳に小野道風(雨) | 柳に燕 | 赤(文字なし) | 1 枚 |
| 12 月 | 桐 | 桐に鳳凰 | — | — | 3 枚 |
覚えるコツ
全部を一度に覚えなくても遊べます。まずは次の 4 つだけ押さえましょう。
- 基本は「光かタネが 1 枚+短冊 1 枚+カス 2 枚」。例外は 8 月(光とタネ)、11 月(光・タネ・短冊・カスが 1 枚ずつ)、12 月(光とカス 3 枚)の 3 か月だけです。
- 光は 1・3・8・11・12 月の 5 枚だけ。鶴・幕・月・雨・鳳凰と覚えます。
- 短冊は色で分ける。文字入りの赤短が 3 枚(松・梅・桜)、青短が 3 枚(牡丹・菊・紅葉)、文字なしの赤い短冊が 4 枚(藤・菖蒲・萩・柳)です。
- 迷ったら花の形を見る。同じ月なら、カスにも同じ花が描かれています。
こいこいの遊び方:1 局の流れ
札の配り方と親
- 最初の親(先手)は、2 人が 1 枚ずつ札を引き、月の早い札を引いた人にするのが一般的です。
- 手札を 8 枚ずつ配り、場に 8 枚を表向きに並べます。残りは裏向きの山札にします。
- 場に同じ月の札が 4 枚そろったときは、配り直します。
自分の番にすること
自分の番には、次の 2 つを続けて行います。
- 手札を 1 枚出す。場に同じ月の札があれば、2 枚を自分の取り札にします。なければ、出した札を場に置きます。
- 山札を 1 枚めくる。めくった札も同じように、同じ月の札があれば取り、なければ場に置きます。
場に同じ月の札が 2 枚あるときは、どちらを取るか選べます。3 枚あるときは、出した札で 4 枚まとめて取れます。
たとえば手札に桜のカスがあり、場に「桜に幕」があれば、桜のカスを出して幕を取れます。続けて山札から菊のカスがめくれ、場に「菊に盃」があれば、それも取れます。1 回の番で 2 組取れることもあるわけです。
役ができたら「こいこい」か「勝負」
取った札で役ができたら、どちらかを選びます。
- 勝負: ここで局を終えて、できている役の点を合計してもらいます。これを「上がる」と言います。
- こいこい: 局を続けて、さらに点を伸ばします。ただし、そのあと相手が役を作って上がると、自分の点は 0 になります。
こいこいしたあとに新しい役ができたり、枚数の役が増えたりしたら、もう一度「こいこい」か「勝負」を選びます。勝負したときにもらえるのは、その時点でできている役すべての合計です。
1 局の終わりと点の記録
局は、どちらかが「勝負」で上がるか、2 人とも手札 8 枚を出し切ったところで終わります。手札を出し切っても誰も上がらなかった局は「流れ」で、点は入らないのが一般的です。
上がった人の点を局ごとに紙などに書き留め、決めた局数を終えた時点で合計の多い人の勝ちです。次の局の親は、前の局で上がった人にする遊び方がよく使われます。
こいこいの役一覧と点数
ここでは多くの遊び方で使われる点数を載せます。点数は地域や遊び方によって少しずつ違うので、後の「違いやすいところ」もあわせて読んでください。
| 役 | そろえる札 | 点 |
|---|---|---|
| 五光 | 光 5 枚すべて | 10 文 |
| 四光 | 雨(柳に小野道風)以外の光 4 枚 | 8 文 |
| 雨四光 | 雨を含む光 4 枚 | 7 文 |
| 三光 | 雨以外の光 3 枚 | 5 文 |
| 猪鹿蝶 | 萩に猪・紅葉に鹿・牡丹に蝶 | 5 文 |
| 赤短 | 松・梅・桜の文字入りの短冊 | 5 文 |
| 青短 | 牡丹・菊・紅葉の青い短冊 | 5 文 |
| 花見で一杯 | 桜に幕・菊に盃 | 5 文 |
| 月見で一杯 | 芒に月・菊に盃 | 5 文 |
| タネ | タネ 5 枚(1 枚増えるごとに +1 文) | 1 文〜 |
| タン | 短冊 5 枚(1 枚増えるごとに +1 文) | 1 文〜 |
| カス | カス 10 枚(1 枚増えるごとに +1 文) | 1 文〜 |
光の役は、雨の札が入るかどうかで変わります。雨を含む光 3 枚は役にならず、雨は 4 枚目・5 枚目の光としてだけ役に入ります。雨を含む 4 枚は「雨四光」として、四光より 1 文低く数えます。
枚数の役(タネ・タン・カス)は、ほかの役と重ねて数えるのが一般的です。たとえば猪鹿蝶とほかのタネ 2 枚を取っていれば、猪鹿蝶 5 文+タネ 1 文で 6 文になります。
手役(配られた時点でできる役)
配られた手札に同じ月が 4 枚(手四)、または同じ月の 2 枚組が 4 つ(くっつき)あれば、その場で 6 文の上がりとする遊び方があります。
7 文以上は 2 倍
上がったときの合計が 7 文以上なら点が 2 倍になる、というルールがよく使われます。5 文の役を伸ばして 7 文にできれば、14 文になる計算です。
こいこいする? 勝負する? 判断の目安
こいこいは、続ければ点が伸びるかわりに、相手に先に上がられると 0 になる賭けです。迷ったときは、次の表で考えてみてください。
| こいこいしてよい場面 | すぐ勝負したほうがよい場面 |
|---|---|
| 手札が 4 枚以上残っている | 手札が 3 枚以下 |
| あと 1〜2 枚で次の役になる札が、まだ場や山札に残っていそう | 相手の取り札に、3 枚でそろう役の札が 2 枚そろっている |
| 相手の取り札がまだ少ない | 相手がすでにこいこいしている |
| あと少しで 7 文に届き、点が 2 倍になる | 合計点で大きく勝っていて、守れば逃げ切れる |
特に覚えておきたいのは、相手がこいこいしたあとに自分の役ができたら、すぐ勝負することです。それで相手の点は 0 になり、多くの遊び方では自分の点も 2 倍になります。
こいこいで勝つためのコツ
初心者向け
- 取れる札から考える: 場と同じ月の札が手札にあれば、まずそこから。取れる札がない番は、場に 1 枚置くしかありません。
- 光と役に関わる札を優先する: 迷ったら「光 > 役に関わるタネ・短冊 > ほかのタネ・短冊 > カス」の順で取ります。
- 菊に盃は見逃さない: 花見で一杯・月見で一杯の両方に使えるうえ、タネにもカスにも数えられることが多い、使い道の多い札です。
- 狙う役を 1 つ決める: 3 枚でそろう猪鹿蝶・赤短・青短は最初の目標に向きます。牡丹と紅葉は猪鹿蝶と青短の両方に関わるので、一緒に狙えます。
中級者向け
- 相手の役を止める: 相手の取り札に猪と鹿があれば、残りの蝶(牡丹)を先に取ってしまいます。
- 場に置く札を選ぶ: 取れる札がなく 1 枚置くときは、同じ月のほかの 3 枚がもう出尽くしている札か、同じ月の残り 1 枚を自分が持っている札を選びます。相手に取られる心配がありません。
- 相手の役に要る札は置かない: 場に置いた札は、相手が同じ月の札で取れます。大きな失点のもとです。
遊び方で違いやすいところ
こいこいは地域や仲間内で細かいルールが違います。代表的な違いをまとめました。
| ルール | よくある違い |
|---|---|
| 三光の点 | 5 文が多いが、6 文とする遊び方もある |
| 花見で一杯・月見で一杯 | 役にしない遊び方もある。点を 3 文とすることも |
| 菊に盃 | タネとカスの両方に数えるか、タネだけか |
| 倍付け | 7 文以上で 2 倍/こいこいされたら 2 倍/両方(最大 4 倍)/なし |
| 手役(手四・くっつき) | 6 文の上がりにするか、配り直しにするか |
| 赤短と青短の両方 | それぞれ 5 文で数えるか、まとめて 1 つの大きな役にするか |
| 流れの局 | 点なしにするか、親に点を与えるか |
| 2 局目からの親 | 前の局で上がった人か、交互か |
始める前に決めておくこと
途中で「それ、ありだっけ?」ともめないように、最初に次の 5 つだけ確認しておくと安心です。
- 何局で終わりにするか(3 局・6 局・12 局)
- 倍付けのやり方(7 文以上で 2 倍か、こいこいされたら 2 倍か)
- 花見で一杯・月見で一杯を役にするか
- 菊に盃をカスにも数えるか
- 手役を使うか
オンラインで遊ぶなら
花札が手元にないときや、離れた友達と遊びたいときは、ブラウザで遊べるオンラインの花札も便利です。役の判定や点の計算はゲームがしてくれるので、覚えたてのうちは札の見分けと「こいこいか勝負か」に集中できます。
たとえば無料のゲームサイト LUDORA の花札では、上の「始める前に決めておくこと」を対戦前に選べ、相手がいないときは CPU と打てます。
よくある質問
こいこいは何人で遊ぶゲームですか?
2 人用です。3 人で遊ぶ花札には、取った札の点数と役で競う「花合わせ」という別の遊び方があります。
「文」とは何ですか?
こいこいの点数の単位で、「もん」と読みます。「点」と呼ぶ遊び方もあり、意味は同じです。
柳に小野道風(雨)は三光になりますか?
なりません。雨を含む光 3 枚は役にならず、光 4 枚の「雨四光」か、5 枚の「五光」になったときにだけ役に入ります。
こいこいは何回でもできますか?
役ができたり点が増えたりするたびに、何度でも選べるのが一般的です。ただ、続けるほど相手に先に上がられる危険も増えます。
12 か月で遊ぶのはなぜですか?
花札が 12 か月の札でできていることにちなんで、12 局(12 か月)で区切る遊び方がよく使われます。時間がないときは局数を減らしてかまいません。
まとめ
- こいこいは、同じ月の札を合わせて取り、役を作る 2 人用の花札
- まずは「光は 5 枚」「短冊は赤短・青短・文字なしの赤の 3 種類」から覚える
- 3 枚でそろう猪鹿蝶・赤短・青短を最初の目標にする
- 役ができたら、手札の残りと相手の取り札を見てこいこいか勝負かを決める
- 点数や倍付けは遊び方で違うので、始める前に確認する
札の月が見分けられるようになれば、こいこいはぐっと楽しくなります。まずは 3 局くらいの短い勝負から始めてみてください。

