リバーシは「たくさん返したほうが勝ち」に見えますが、初心者によくある負け方は、まさにその「たくさん返す」打ち方から始まります。この記事で紹介する 5 つのコツは、突きつめると次の 3 つの考え方にまとまります。
- 角(すみ)を取る。角の石は二度と返されません。
- 角のとなりに先に打たない。相手に角を渡す入口になります。
- 序盤と中盤は、相手の置ける場所を減らす。そのために返す石は少なく、内側の石を返します。
ここから、盤の図を交えて 1 つずつ説明します。後半には終盤の考え方、打つ前に確かめる 4 つのこと、練習のしかた、よくある質問をまとめました。
リバーシの基本ルールをおさらい
- 8×8 の 64 マスの盤で、黒と白に分かれて交互に石を置きます。黒が先手です。
- 最初は盤の真ん中に、黒と白を 2 つずつ斜めに並べた状態から始めます。
- 相手の石を、縦・横・斜めのどれかの向きで自分の石ではさめる場所にだけ置けます。1 つもはさめない場所には置けません。
- はさんだ石は、置いた石から見てはさめている向きのものをすべて自分の色に返します。
- 置ける場所がないときだけパスします。置ける場所があるときはパスできません。
- 盤が埋まるか、2 人とも置けなくなったら終わりです。盤の上の石が多いほうが勝ちです。
勝敗を決めるのは最後の石の数で、途中の石の数では決まりません。ここが上達のいちばんのポイントです。
マスの呼び名を覚えよう
コツの説明に入る前に、角のまわりのマスの呼び名を 3 つだけ覚えておきましょう。下の図は盤の左上の角のあたりです。

- 角: 盤の 4 すみ。ここに置いた石は、はさまれることがないので二度と返りません。
- X(エックス): 角の斜めとなり。盤全体で 4 か所あります。
- C(シー): 角の縦・横のとなり。盤全体で 8 か所あります。
右上・左下・右下の角にも、同じように X と C があります。
コツ 1:角を取れるときは、まず取る
角の石は返されないので、一度取れば最後まで自分の石のままです。さらに、角から辺(盤のふち)に沿ってすき間なくつながった自分の石も、返されなくなります。このように、もう返されることのない石を「確定石」と呼びます。
相手が X や C に打って角を取れる形になったら、多くの場合は迷わず取りましょう。初心者どうしの対局では、角を多く取ったほうがそのまま勝つことがよくあります。
ただし、角は自分から取りに行くものではありません。相手が角を明け渡すように仕向けるものです。そのための考え方が、次のコツ 2 と 3 です。
コツ 2:角が空いているうちは X と C に打たない
角が空いているときに X に打つと、相手がその X の石をはさんで角に置ける形になりやすくなります。下の図は、黒が X(b2)に打った直後の、盤の左上の 4×4 です。
| a | b | c | d | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ◎ | ・ | ・ | ・ |
| 2 | ・ | ● | ・ | ・ |
| 3 | ・ | ● | ○ | ・ |
| 4 | ・ | ● | ・ | ○ |
(● 黒・○ 白・◎ 白が置ける角)
黒は b3 の白を縦にはさんで返すために b2 に打ちました。ところが斜めの線を見ると、白は a1 の角に置けば、c3 の白とで b2 の黒をはさめます。自分で角への道を開けてしまったわけです。C も同じで、辺に沿って相手に角を取られる原因になります。
- X は特に危険: 角が空いているあいだは、ほかに打てる場所がある限り避けます。
- C は慎重に: その辺の先に相手の石があり、角に置かれるとはさまれる形になっていないかを確かめます。
- 辺にも急いで打たない: 辺に石を並べると、相手がその石をはさんで C や角に入る足場になることがあります。
- 角が自分の石になったあと: その角のとなりの X と C は、もう危なくありません。
上級者は、あえて X や C に打つ手を使うこともあります。それは先まで読めるようになってからの話です。最初のうちは「角が空いていたら X と C は後回し」と決めてしまうのがおすすめです。
逆から見ると、これは攻め方でもあります。相手の置ける場所を減らしていけば、相手は X や C に打つしかなくなり、角が自分に回ってきます。それが次のコツです。
コツ 3:相手の置ける場所を減らす
序盤と中盤でいちばん大切なのは、相手の置ける場所を少なく、自分の置ける場所を多くすることです。
たくさん返すと、盤の上は自分の色ばかりになります。すると相手から見れば、はさめるあなたの石があちこちにあるので、置ける場所が増えます。逆にあなたは、はさめる相手の石が少ないので置ける場所が減ります。
置ける場所が減ると、残っているのは X や C のような「打ちたくない場所」ばかり、という状態に追い込まれます。こうして角を渡すのが、典型的な負け方です。

上の画面では、置ける場所を薄い点で示しています。対局中に、自分と相手の置ける場所の数を見比べる習慣をつけると、形勢がつかみやすくなります。迷ったら、候補の手を打ったつもりで「相手は次にどこに置けるか」を数えてみてください。相手の置ける場所が少なくなる手ほど良い手です。
コツ 4:返す石は少なく、内側の石を返す(中割り)
相手の置ける場所を増やさないための具体的な目安が、返す石の数と場所です。
- 数: 序盤と中盤は、返す石が 1〜2 個で済む手を優先します。
- 場所: 返す石のまわりに空きマスが少ないかどうかを見ます。
返した石のとなりに空きマスが多いと、相手はそこに置いてその石をはさめるようになります。返す石のとなりにある空きマスの数を「開放度」と呼び、これが小さい手ほど相手に新しい置き場所を与えません。
まわりを石に囲まれた内側の石だけを返す手は「中割り」と呼ばれ、開放度が小さい良い手の代表です。逆に言えば、内側の石だけを返すなら、返す数が多少多くても悪い手にはなりにくいということです。数より場所を見る、と覚えておきましょう。
コツ 5:外側に「壁」を作らない
序盤に外側の石をどんどん返していくと、自分の石が外側に一列に並んだ「壁」ができます。壁は見た目は強そうですが、そうではありません。
壁ができると、相手の石は壁の内側に閉じこめられ、あなたからはさめる相手の石が外側に残りません。その結果、あなたの置ける場所が減っていきます。一方の相手は、壁の外側の空きマスから、あなたの石をはさめる場所をいくらでも見つけられます。
石が多いのに置ける場所がなくなり、追い詰められていく。そんな経験があれば、それは壁が原因かもしれません。石は内側にまとめて、少なめに持つのが理想です。
終盤:空きマスの数で考える
盤が埋まってくると、残りの空きマスはいくつかのかたまり(区画)に分かれます。終盤はここで考え方を切り替えます。
- 空きが奇数の区画から先に打つ: 空きが 3 マスの区画に先に打てば、残りは 2 マス。相手が 1 つ打ったあと、その区画の最後の 1 マスをあなたが打てます。最後のマスに打った側は、その区画で相手に打ち返される心配がありません。この考え方は「偶数理論」と呼ばれます。
- パスで順番が変わる: 空きは最初 60 マスなので、パスが起きなければ最後の 1 手は後手が打ちます。パスが 1 回起きると、この順番は入れ替わります。
- 相手が打てない場所を残す: 自分だけが置ける空きマスは、あとに取っておけば相手にパスさせられます。
- 最後は数える: 空きが少なくなったら、候補の手ごとに最終的な石の数を数えて比べます。序盤とちがい、ここでは多く返す手が正解になることもよくあります。
打つ前に確かめる 4 つのこと
対局中は、置く前に次の 4 つを順に確かめるだけで、うっかり負けがかなり減ります。
- 角を取れるか? 取れるなら、多くの場合はその手が正解です。
- その手は X か C ではないか? 角が空いているなら、ほかの手を探します。
- 返すのは内側の石か? 外側の石をたくさん返す手は後回しにします。
- 打ったあと、相手の置ける場所は増えていないか? 増えるなら、ほかの手と比べます。
上達するための練習のしかた
コツは読むだけでは身につきません。実際に打って、負けた対局を振り返るのがいちばんの近道です。
- CPU と打つ: 相手を待たずに何局でも打てます。弱い相手から始め、勝てるようになったら強くします。
- 小さい盤で打つ: 6×6 の盤は 1 局が短く、角や X・C の意味がすぐ結果に出るので、コツを体で覚えるのに向いています。
- 負けた局の「角を取られた手」を探す: 角を取られる直前に、自分がどこに打ったかを思い出します。たいてい X か C に打ったか、置ける場所がそこしか残っていなかったかのどちらかです。
道具がなくても、ブラウザで遊べるリバーシなら今すぐ練習できます。たとえば無料のゲームサイト LUDORA のリバーシでは、CPU の強さは 3 段階、盤は 6×6・8×8・10×10 から選べます。石の置き方から角の取り方までを順に試せる練習モードもあり、友達を招待して対戦することもできます。
よくある質問
リバーシに必勝法はありますか?
人が覚えて使える必勝法はありません。2023 年には、コンピュータの計算によって「8×8 の盤でお互いが最善の手を打ち続けると引き分けになる」と示した論文が発表されています。ただ、その最善の手順は人が覚えられるものではないので、この記事のようなコツを積み重ねるのが上達の近道です。
先手と後手、どちらが有利ですか?
人どうしの対局では、はっきりした差はないと考えてかまいません。上の研究のとおり、8×8 ではお互いが最善なら引き分けです。
CPU に勝てません。どうすればいいですか?
まずは弱い CPU を相手に、「X に打たない」と「返す石を少なく」の 2 つだけを守って打ってみてください。負けたら、角を取られた直前の自分の手を確かめます。原因が見つかれば、同じ負け方は減っていきます。
角を取れば必ず勝てますか?
必ずではありません。角を取っても、ほかで置ける場所がなくなって不利な手を打たされれば、逆転されることがあります。角は大きな有利ですが、コツ 3〜5 とあわせて考えることが大切です。
置ける場所があるのにパスしてもいいですか?
一般的なルールではできません。パスできるのは、置ける場所がひとつもないときだけです。
引き分けはありますか?
あります。最後に黒と白の石の数が同じなら引き分けです。
途中で石の数が少ないと不利ですか?
いいえ。序盤と中盤は、むしろ石が少ないほうが置ける場所が多く、有利なことがよくあります。石の数を気にするのは終盤からで十分です。
リバーシの勝ち方のまとめ
- コツ 1: 角は返されない。取れるときは取る。
- コツ 2: 角が空いているうちは、X と C に打たない。辺にも急いで打たない。
- コツ 3: 相手の置ける場所を減らし、自分の置ける場所を残す。
- コツ 4: 返す石は少なく、内側の石を返す(中割り)。
- コツ 5: 外側に壁を作らない。
- 終盤は空きマスの数を数え、最後は石の数を比べる。
まずは「X に打たない」と「返す石を少なく」の 2 つだけ意識して、何局か打ってみてください。それだけで、角を取られて負ける対局がはっきり減るはずです。


